【中2、中3国語】文章の流れのつかみ方①(2025/10/19)

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【中2、中3国語】文章の流れのつかみ方①(2025/10/19)

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2025/10/20 【中2、中3国語】文章の流れのつかみ方①(2025/10/19)

『新しいことをするのだったら、学校がいちばん。年齢、性別に関係なくそう考える。学ぶには、まず教えてくれる人が必要だ。これまでみんなそう思ってきた。学校は教える人と本を用意して待っている。そこへ行くのが正統的だとなるのである。』(江戸川学園取手高等学校 H23『思考の整理学』より抜粋)

 

これは授業で扱った問題文の冒頭の一部です。ここから、この文章全体が、「学校で学ぶこと」について賛成の立場から論ずる文章なのか、批判的な立場から論ずる文章なのか、わかるでしょうか。

今日のテーマは、このようなほんの一部からでも文章全体の流れをつかみ、筆者の主張をいち早く正確につかむ先読みについてです。

 

ところで、みなさんは自分の主張をするときというのは、どういう状況なのか頭に思い浮かびますか。
おそらく、主張というのは周りのみんなとは違う意見を持った時に行うものではないでしょうか。

 

現代文の論説も、同じことが言えます。
つまり、筆者は主張を持っているわけですが、それをなぜ主張したいかというと、他の人とは違う意見だからなのです。

 

例えば、教室にいる30人中29人が猫が好きだという意見を持っているときに、私も猫が好きという意見は主張にはなりません。それは他29人からすれば、ただの同意見で、取るに足らないものです。しかし、29人が猫が好きだと言っている中に、「猫もかわいいかもしれないけど、私はイグアナが好きです。」と言っている人がいたらどうでしょうか。その理由が気になりませんか。これが主張です。

 

当たり前に思うかもしれませんが、これを友達との輪や教室のレベルではなく、国家や世界の規模で考えを巡らせているのが、世の中の学者であり、そういう方々が論説を書いているのです。

 

では、そういった学者のみなさんにとって、教室の中でいう「その他29人の意見」は何でしょうか。
それは、「世の中のほとんどの人がそう思っていること」つまり「常識」や「一般論」です。

 

主張を伴う論説については多くの文章がこの一般論を乗り越えるための内容を含みます。
「みんなはこういうけれど、…」「一般的にはこう考えられているが、…」「…なのは当然と思われているが、」など、表現方法はさまざまでも、一般論を批判的にみるところから主張は生まれるわけです(批判的というのは、単に否定し排除するということではありません。批判的とは、「本当にそれでいいのか」「それで十分なのか」と”普通”に疑いを持つことです)。

 

だからこそ、筆者の主張をいち早く察知するためには、どのような一般論が引き合いに出されているのかが重要なのです。
例として、簡単な一般論を乗り越える文章を記載しますので、私が何を主張するのか想像してみてください。

 

「みんなディズニーランドは楽しいというけれど、…」
「就活では多くの人がたくさんの企業を受けるけれど、…」
「多くの同級生がサラリーマンとして働いているが、…」

 

いかがでしょうか。次に来る内容を完全に把握できなくても、ある程度の流れの予想はつくはずです。
先読みをせず、自分の頭で仮説を持たないでなんとなく読んでいる人と、仮説に対して答え合わせをするように文章を読んでいる人ではその文章の理解度に大きな差が生まれます。

 

ここで再び冒頭の文章を読んでみてください。

 

『新しいことをするのだったら、学校がいちばん。年齢、性別に関係なくそう考える。学ぶには、まず教えてくれる人が必要だ。これまでみんなそう思ってきた。学校は教える人と本を用意して待っている。そこへ行くのが正統的だとなるのである。』(江戸川学園取手高等学校 H23『思考の整理学』より抜粋)

 

改めて質問をしたいと思います。ここから、この文章全体が、「学校で学ぶこと」についてどのような立場から論ずる文章なのか、わかるでしょうか。
「なるほど」と思った方は、すでに筆者の目線に立つ準備ができています。そうすると、(今回は全文は載せていませんが、)この文章全体の主張がみるみると分かるようになってくるはずです。

 

この一節では、『新しいことを学ぶなら学校が一番だと「みんなそう思ってきた」』と言っています。これが一般論です。

そのため、おそらくこの後には、「新しいことを学ぶなら学校だけでは不十分だ」とか「新しいことを学ぶのに学校は適さない」とか、そういった主張が来るんだろうということが予想されます。そして、その理由について筆者の意見やデータがたくさん述べられるのではないかと予測できます。これが文章の理解をいち早く深めるための先読みの力です。

 

いかがだったでしょうか。

この先読みの力は、その目印に気づけるかどうかが最も重要です。今回の場合は、その目印が「一般論」でした。

 

また、この先読みの力は文章を読んで筆者の言いたいことを筆者の目線で理解するための一つの手段にすぎません。他にも様々な目印を見落とさずに読むことによって、文章の内容や筆者の目線になって実感と納得を持って読むことができるようになっていきます。

 

中学生よりは随分と長く現代文をやってきた高校3年生の授業をしていても思うことがあります。
それは、文章を本当に理解しながら読める人はそう多くはないということです。やはり、「勉強のための国語」、「テストでいい点を取るための国語」では、問題に正確に答えることが優先されてしまい、授業で読んだ文章を理解し、自分に活かすという余裕が持てている人はほとんどいません。私は小野塾のみなさんには、最終的に「自分のための国語」だと自信をもって言えるようになってほしいと願っています。

 

シンプルかつ講師としては身も蓋もないことを言いますが、「文章が本当に理解できているなら、どんな問題も解ける」のです。
だからこそ、中学生のうちから問題に正答すること、問題の中から予定調和のように決まった文言を書き抜く問題に慣れてほしくありません。それが国語だと思わないでほしいのです。

 

本当に文章全体を理解し読む力がつくと、次第にそれは、文章を作り、言葉を話す力に変わっていきます。
このような力がコミュニケーション能力をはぐくみ、今の勉強を本当に社会的にも意義のあるものに仕立てていくのです。

 

私は国語をやる意味を常に定義しながら、この小野塾で授業を行っていきたいと思っています。

 

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